プロ野球広島カープの選手育成の秘密

2018年のペナントレースもいよいよ大詰めです。セ・リーグでは広島カープ(以下、カープ)が8月にマジックを点灯させるなど、セ・リーグ3連覇が目前となりました。

そんなカープも2016年に25年ぶりのセ・リーグ優勝を決めるまでは、カープは万年Bクラスが定位置でした。しかし、2016年と2017年にセ・リーグ連覇を果たすなど、近年はセ・リーグでは圧倒的な強さを誇るチームになっています。

では、なぜカープはここまで強くなったのでしょうか。その秘密は、選手の育成にあります。

広島はプロ野球12球団の中で唯一の市民球団です。潤沢な資金があるわけではないため、FAによる補強が難しい事情があります。そのため、ドラフトで有望な選手を獲得し、厳しい練習で育成することがチーム強化の要となります。広島は伝統的に他の球団よりも厳しい練習で知られていますが、その内容は「量と質を兼ね備えた練習」です。キャンプでは、朝から晩までみっちりと行います。しかも、休憩は昼食のときのみです。練習内容も、休憩の選手が出ないように連続のティーバッティングを輪番制で行ったり、夜中には素振りやウェイトトレーニングを課すなど、ハードなものとなっています。

その一方で、カープの練習は量だけでなく質も追及したものとなっています。「この練習をなぜやるのか」といった練習の意義について、コーチは選手に意識付けを行います。その上で、「この投手にはこの球に絞り込んで打つ」など、実践を想定した練習を徹底的に行い、身につけさせます。また、コーチも単に選手にやらせるだけでなく、朝から晩まで練習に付き合い、しかも準備から片付けまで手伝っています。

このような環境の中で選手は目的を持って練習に取り組んでいるからこそ、何人もの若手選手が登場し、強い広島を支えているのです。